斜視は、両眼の視線が同じ方向を向いていないものを言います。いつも視線がそれている場合(恒常性)と、ときどき視線が外れる(間欠性)だけのものに分けられます。ときどき斜視になるだけでは、視力や両眼視に問題が起こらないことが多いのですが、子供のころからいつも斜視だと、両目で物をみる能力が発達しなくなったり、視力の発達に問題がおきたりします。眼が内側へよるものを内斜視、外へ外れるものを外斜視、上下にずれるものを上下斜視といいます。大人になってからの斜視では、物がダブって見えるようになります(複視)。子供の斜視の原因で多いのは、遠視があって、そのために、物をはっきり見ようとすると眼が内側へよってしまうものです。また、視力がよくても、ぼんやりしたときに視線が外に流れるものもあります。斜視が原因で、斜めに物をみたり、首をかしげたりすることもあります。
赤ちゃんは鼻が低く、皮膚が眼にかぶさっているために、見かけ上は斜視に見えるけれど、本当は斜視でないことがしばしばあります。逆に、「赤ちゃんはみんな目がよって見える」と思い込んでしまうことによって、斜視を見逃してしまうこともあります。フラッシュをたいて写真をとってみてください。両目の中心でフラッシュの光が反射していれば問題ありません。ご心配な場合には、眼科を受診してください。
斜視の原因には、別の病気が背景にあることがあります。最悪の場合、生命に関わる病気もあります。突然斜視になった場合には、すぐに眼科医の診察を受けてください。全身に関連する病気としては、脳腫瘍、脳動脈瘤などの脳の病気、糖尿病、高血圧などの生活習慣病、甲状腺眼症のようなホルモンの異常、重症筋無力症や外傷などがあります。
斜視の治療は、それぞれの斜視の原因によって異なります。眼にあった眼鏡をかける方法、プリズムの入った眼鏡をかける方法、手術を受ける方法があります。大人の斜視は、就職で不利になったり、対人関係で問題になったりもします。完全に治らない斜視も多くありますので、どこまで良くなるのかを主治医と十分に話しあったうえで治療方針を決めることが大切です。
斜視の手術は眼を動かす筋肉の位置を付け替えるものです。子供さんでは、全身麻酔で、大人では全身麻酔あるいは局所麻酔で行います。通常は数日の入院が必要です。
初めて病院を受診されるときには、できれば斜視のときとそうでないときの写真を持参してください。特に子供さんの場合には、診察室で泣いてしまって十分に見せてくれないことがあります。ご家庭で撮影したビデオをお持ちになり、気になる場面を見てもらったり、生まれたときからの写真を持参されることをお勧めします。
大事なお知らせ
隔週の金曜日には医学生が外来見学をすることがあります。医学教育へのご協力をお願いします。もし、見学を望まれない場合には、受付にてその旨をお申し出ください。また、医学研究のために大学の倫理委員会の承諾を得て、電子カルテ上のデータを利用させていただくことがあります。現在進行中の研究につきましては、以下のものがあります。