その他小児の眼の病気

さかさまつげ

子供の瞼には脂肪が多いので、瞼が内側にまきこみ、睫毛が眼にさわることがあります。瞼全体が内側を向いているときを内反症(ないはんしょう)といいます。自然に治っていくこともありますが、5歳をすぎても治らなかったり、角膜(黒目)に繰り返し傷ができる場合には、手術をお勧めします。瞼の形は正常でも、乱れた方向に睫毛が生えることもあります。これを睫毛乱生といいます。この場合には、睫毛を抜いたり、毛根を電気分解したりします。

鼻涙管閉塞

私たちの目は常に涙で潤っています。涙は鼻涙管を通って鼻に流れます。この管が詰まってしまうと、涙が鼻に流れなくなり、泣いていないのに涙が流れることになります。この鼻涙管が先天性に閉塞している赤ちゃんは、常に涙ぐんでいて、目やにも多くなります。管を水で繰り返し洗うことによって、管が通過することもあますし、そうでない場合には、針金で道を通したり、プラスチックの管を通したりして治療します。

眼振

眼振とは本人の意思に関わらず、眼がリズミックに動いてしまう状態を言います。正常な人でも、電車の中から外の景色を眺めているときには眼振がおこります。動くものを見ている場合にも起こります。そのような場合でなくて、常に眼が揺れるようでしたら、異常な眼振の可能性があります。眼振には大きくわけて、視力が悪いために起きる眼振、脳に異常があっておきる眼振、遺伝性でどこにも異常がみられない眼振があります。いずれも治療方針が違いますので、眼科を受診する必要があります。

未熟児網膜症

医学の進歩によって、小さくうまれた赤ちゃんの救命率が大変高くなってきています。ところがそれに伴って、未熟児網膜症の頻度があがっています。

予定より早く生まれた赤ちゃんの目は未熟で、急激に高濃度の酸素に触れると、網膜の血管が異常に発育をします。多くの場合未熟児網膜症は自然に良くなります。しかし、自然に良くならないと異常な血管が網膜を引っ張り、網膜はく離を引き起こします。進行してきたら、網膜をレーザーで凝固したり、冷凍凝固をしたりします。それでも進行する場合には、網膜の手術を行うことになります。

網膜芽細胞腫

網膜芽細胞腫は、遺伝性、あるいは特発性におきる眼の悪性腫瘍です。手遅れになると生命に関わってきます。現在では早期に発見することによって、抗がん剤や放射線、レーザー治療などによって保存的な治療が可能です。しかし、発見が遅く進行した状態では、眼球を摘出する必要がでてきます。ご家族のなかに網膜芽細胞腫の方がいる場合には、赤ちゃんが生まれたらすぐに眼科の診察をうけ、問題がなくても3歳までは定期的に眼科の健診を受けることをお勧めします。家族のなかに網膜芽細胞腫の方がなくても発生することもあります。早く見つけるサインとしては、写真を撮った場合に瞳が白く写ることがあげられます。もし、瞳が光る写真があれば、迷わず眼科を受診してください。また、斜視が最初のサインのこともありますから、お子様の視線が合わないと思ったら、眼科を受診してください。

子供の近視について

小学校の高学年になると近視による視力低下が問題になってきます。近視の多くは、眼鏡をかければよく見える、という状態ですので、授業に差し支えるようなら眼鏡をかける、そうでなければ眼鏡をかける必要はありません。

教室の後ろの席から黒板の字をみるのに必要な視力は0.7、前のほうの座席に座るのであれば、0.4くらいあればいいでしょう。これ以下の場合には、眼鏡をかけることをお勧めします。

眼鏡をかけたからといって、近視がますます進行することはありません。現在のところ、近視の進行予防にたいする特効薬はありませんが、特殊な眼鏡をかけ、ピントあわせを麻痺させる目薬をさすことで近視の進行を遅らせることが可能です。

長時間のビデオゲームや長時間テレビをみたり、悪い姿勢で本を読んだりすることは近視の進行を進めます。正しい姿勢で時間を区切って近業を行うことをお勧めします。